シラコのしたたり

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アシュラ // ジョージ秋山 (漫画)

【注意】以下、グロテスク・暴力的な要素を含む文章となる為、気分を害される方は閲覧をお控え下さい。

 

 

アシュラ / ジョージ秋山 (2006)

※初版は1972年となる

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民族的習慣や嗜好的に人肉を食す「カニバリズム」に対し、本作は飢餓状態による人肉食であり「共食い」という言葉の方が当てはまるだろう。

「公家」という言葉から、平安時代鎌倉時代の話で、養和の大飢饉を背景にしていることが考察される。

 

主人公アシュラは生まれながらに孤独で言葉も話せない獣同然である。そして獣のように人間も食す。

ジャングルブックと異なるジンニクブックである。

しかしながら人間との交流や度々登場する僧(行脚)の教えにより人の心を通わせていく。

 

「獣の本性をさらけだすときがある これが人間の哀れさじゃ」

 

自分の存在に疑問を持ち、生きる道を生まれてから今日まで悩み続け、もがき苦しむ少年アシュラは実に不憫である。

 

この作品中では貧富の差が激しく描写され、餓死した遺体が所々に散乱している。

人間は飲まず食わずの状態なら早くて4日程で絶命すると言われている。食べるものが全く無い環境下では、餓死しない方法は共食いしか選択肢が無いのだ。

 

現代社会において本音は必要であっても”本性”を出すべき場所というのは意外に少ない。又、出さなくても生きて行けてしまう人も多い。

 

現代社会に暮らす人間が、アシュラと同じ環境下に置かれた場合、果たして同様の行動をとるのだろうか。