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人魚伝説 // 池田敏春監督(映画)

 【注意】以下、グロテスク・暴力的な要素を含む文章となる為、気分を害される方は閲覧をお控え下さい。

※ネタバレ注意

 


ラスト数十分の描写の激しさが印象的な、知る人ぞ知る邦画「人魚伝説 / 池田敏春監督」f:id:siracon:20220523101658j:image
1986年当時、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故が起きた事もあり、日本でも原発反対運動が盛んに行われていた。この映画は実際の時代背景よりやや遡り1984年であるが原発を題材とする。


本作の主人公である佐伯みぎわと啓介は海で潜り漁を営み生計を立てる夫婦。
夫婦の住む漁村に同じく住む有力者の宮本輝正は、この地にレジャーランドを建設予定であったがその案が原発施設設立に変更。
ある日、この事業に絡んだ殺人現場を偶然海に居合わせたみぎわの夫が目撃してしまい、権力により闇へ葬られる。
みぎわも又、目撃者の妻として社会から抹消されかけるも何とか生き延びる。

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妻は身を潜めつつ、主犯格をつきとめようと関連者に接近。
真相を追求するうち「妻」⇒「復讐の夜叉」へと変わってゆく。


宮本輝正も当然復讐の対象とされ、権利者の自宅シーン定番、プールサイドにて優雅に酒を愉しむ光景は消されるオーラ全開である。同時に、みぎわに沈められるシーンは妙に爽快だ。

 

その後、ドラマもありつつ

 


いよいよ原発建設現場の記念パーティーにて
夫を殺した犯人に復讐するべくヤリ一本で乗り込むみぎわ。

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まずは宮本氏の息子(元彼)を一突き

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続いて30人以上を刺殺

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大人数相手にタフな主人公。
ラスト間際「あんた殺したの誰?」というセリフは何とも切なく響く。

 

 


血だらけでヤリを持つ姿は一見狂気に満ちているが、物語の大半は悲壮感が占めている。
個人が大きな権力に立ち向かう作品は、結果的に権力側の圧倒的な強大さにダメージを与えられず終わってしまうものだが、この映画は権力側にある程度の打撃を与える点が斬新だ。

 



最後になるが、BGMはマルサの女等で有名な本多俊之氏。

この映画のサウンドトラックは、サックスが深い海を連想させとても気持ちが良い。