九龍城探訪-魔窟で暮らす人々- // ドキュメンタリー
九龍城探訪-魔窟で暮らす人々-
東洋有数のゲトーであり、100年に渡り法律や建築基準等が整備されず一塊の魔窟として成り立っていた要塞「九龍城」。
ピーク時(1980年代)には3万人以上の人が住んでおり、住居は勿論、学校やクリニック、食品工場など営みに必要な施設が揃っており街そのものだったと云う。
九龍城での制約は2つのみ。
近隣に空港がある事に伴う建物の高さ制限と、火事を懸念した電気の使用制限だと云う。
水道設備も皆無
個人的な話だが、九龍城は昔から憧れのようなものを持っていた。
小学生の頃はコンビニやレストランがテナントで入っているマンションが今よりも多く、そういった場所に住む子を見てとても憧れていた。
住んでいる建造物に、住居以外にも様々な可能性のある環境。そこにロマンがあり、無意識に九龍城と勝手にダブらせていたのだと思う。
先日私もKowloonへ訪れた。
九龍城は既に無いが、重慶大厦やミラドールマンションなど一つの建造物に様々な施設や文化、人種が入り混じる建物はやはりときめく。
ひとまず、重慶大厦・ミラドールマンション内にある複数の安宿に宿泊した。いずれの宿も一泊2,000円しないのだから驚きだ。
一室では夜になってもハローワークのような施設でパソコンを触る人々、廊下ではタバコをねだってくる白人女性、布団を干すおばさん、様々な光景が視界に入る。
平日夜中2時ともなると入り口に居る客引き達も目立たなくなり、日中程の活気は無いが、フロア内にあるインド系の飲食店では中東系の人々で賑わい、アフリカ系の飲食店では黒人が大きな声で歓談し、ストリートウェアを扱う衣料店では時代遅れな2000年代ヒップホップ(訪問時2018年)が流れていた。
重慶大厦のような大型建造物は様々な可能性を秘めた、まさにロマンの集合体なのだ。